安心安全が担保された家庭で育たないと、人間の脳は正常に育たない。身体の成長は異常があればひと目で分かるので、酷い虐待は表に出やすい。
しかし、虐待と言うほどでもない軽微な虐待。マルトリーマントと呼ばれる「不適切な養育」を、長年、繰り返し受けて育った子供は脳の成長に異常をきたす。感情のコントロールができなかったり、達成感や充実感を感じることができなかったりする。
直接暴力を受けなくても、激しい夫婦喧嘩を間近で毎日のように見せられて育ったり、理不尽に怒鳴られる毎日だったり、逆に親が子供に無関心でネグレクト気味だったり。そういう表に出ないレベルの誰にも気付かれない程度の不適切な養育をマルトリートメントと呼ぶ。
小中高時代はそれほど目立たなくても、社会に出てからその影響に気づき、自立が困難なケースも多いそうだ。鬱病などの精神疾患になりやすいとも言われている。実際、職場で皆が当たり前に出来ることがなぜか自分だけできなかったり、空気を読めずなぜかいつも自分だけ孤立してしまい、すぐにいづらくなって一つの仕事が長続きしないとか。
私の体感だが、マルトリートメントのせいで生きづらさに苛まれている人は、かなりの数にのぼると思う。多くの場合、大人になってから修復することも可能だということだ。もちろんそれなりの覚悟や苦悩や精神的な苦痛は伴うだろう。
関連書籍や相談先が増えて来ているので、「自分ももしや?」と思う方は希望を持って前に進む為の行動を起こし、長い人生を少しでも楽に楽しく生きてほしいと心から思う。