店員が聞き間違えてしまったのか。それともお客様が言い間違えたり何か勘違いして、不正確に店員に伝えてしまったのか。注文と違う料理をテーブルに届けてしまうオーダーミス。一定の確率でどうしても発生してしまう。なかなかゼロにできない。
重要なのは店側とお客様側のどちらがミスしたのかではない。特に初めてご来店したお客様はメニュー表はもちろん、店内のポップや貼り紙、お勧めのタペストリーなど、全て初見で情報が山のように一気に押し寄せる。何度か来店しているお客様でも全体を網羅して把握する必要はないので、長年の常連様でも知らないメニューがあったりする。
反面店員は全て熟知している。新人のアルバイトでも一通りレクチャーを受けてるし、何度もオーダーを受けているのが普通だ。新人で最初のうちは後ろでベテランが様子を伺っているようにしている。なんなら聞き間違えやすい種類まで指導を受けている。言わずもがな、オーダーする際間違えやすいのはお客様なのだ。
もっと言えば、お客様側は昼の休憩や仕事終わりに帰宅する途中の夕食だったり、休みの日の楽しい外食のいずれかのシチュエーションだろうから、基本リラックスしている。緊張しているのは付き合いたてのカップルくらいだ。店員は業務中で交感神経活動中。集中力も全く違う。
店員のちょっとした配慮で、お客様が勘違いしたり言い間違えたりするのを察することができる。これを心がけているとかなりの確率でオーダーミスを減らすことができる。
お客様がどんな背景で来店して、どんなものを食べたいか、口から発せられた音声の奥にある情報まで読みとりながら注文を聞くことができれば、オーダーを取ること以外のサービスもパーフェクトに近づく。言うは易し。そんな理想を描きながらなかなか出来ずにいる。
